「誰だって一度は必ず建築家だったんですよ」。谷尻誠さんは言います。
ママゴトで理想のキッチンを夢見たこと。小学生のとき、校庭や公園の地面に、
木の枝で大きく枠線を書いて、「ここが私の場所」と悦に入ったこと。家と家の細い隙間に、ドキドキしながら「秘密基地」をつくったこと。押し入れの暗闇や部屋の片隅を、自分の隠れ家みたいにしてマンガを読みふけったこと。そういわれれば、「建築」とは一見無縁なことごとのなかに、想像力を全開にして、自分なりの「空間」を思いめぐらした記憶は、きっとだれもが忘れていないのではないでしょうか。
1974年生まれの谷尻誠さんは、国内でも海外でも、いまいちばんホットな建築家として注目されている建築家です。そんな谷尻さんのつくる建築は、自由で愉快で明解で、ひとことで言えば、風通しのよいものばかり。そんな谷尻さんの発想のもとにあるのは、つねにすべてのことをゼロから考える、というもの。建築に限らず、いちばん大切でいちばんおもしろいのは「考え方を設計すること」なんだ、と谷尻さんは言います。どういうこと? そんなことできるの? あり得ないんじゃない? まあ、そう言わずに、ぜひ連載を毎回楽しみに読んでください。きっといままで知っているなによりも刺激的で、そしてどこかなつかしい発見のかずかずが、そこにあるはずです。
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